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2022.02.07

ジッパーの故障のケースに合わせた補修方法について

はじめに

ジッパーが壊れて使えなくなることはそれほど珍しいことではございません。実際、出先でジッパーが閉まらなくなって困ったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。当店においても破れの補修に次いで、毎月多くのご依頼がある修理の一つとしてあげることができます。

ジッパーの修理は通常、新品との全交換という形で対応することがほとんどです。ただお客様の中には、(特にヴィンテージのパンツを持ち込まれる方に多いのですが)できるだけオリジナルのものを残したい、雰囲気を損ないたくないといった要望をお持ちの方も少なからずおられるため、そうした問題にもきめ細やかに対応することが課題となってきます。

それではジッパーチェンジ以外にどのような修理ができるのか、全交換でしか対処できないケースとはどのようなものなのか、つまりは当店では何ができて何ができないか等をご説明することが本ブログの目的です。

ジッパー交換

左、補修前・右、全交換補修後

先にも言ったように、ジッパー補修のほぼ八割は全交換によるものです。それはその故障の原因のほとんどが、「務歯」の欠損であるためです。

ジッパーは、つまみのついた可動パーツである「スライダー」と「務歯」と呼ばれるギザギザのレールが取り付けられたテープ部分で構成されています。

務歯の付いたテープ部分と、つまみのあるスライダー

この「務歯」が一つでも欠けたり、ぐらついたりした場合、あるいはあまりないことですがテープ部分が裂けてしまった場合は、基本的にジッパーの全交換が必要なケースとなります。

欠けた務歯を元通りに戻すことができないことが、新品との交換が必須となる理由です。

ご用意できる「YKK」ジッパーの一部

ジッパーのメーカーが「YKK」であるならば、おおよそ同じものと交換可能です(ただし、ジッパーがブランドの別注品であるものに関してはその限りではございません。)。

ただ、どうしてもオリジナルのジッパーを失いたくないというのであるならば、務歯の欠損個所がその一番上、あるいは一番下の止め部分から1.5㎝まで程度という条件付きではありますが、それを交換せず利用することができます。

方法としては、まずジッパーをパンツから取り外し、その欠損部から上、あるいは下の務歯を全て引き抜き、止めの金具のみを移動してジッパー自体を作り直してから元に戻すといったものです。当然引き抜いた分だけジッパーは短くなりますが、1.5㎝内程でしたらなんとか「ごまかして」ほとんど違和感なく取り付けることができます。

さらには、これはあまり要望はないのですが、メーカーが「YKK」でLevis等のオリジナルの刻印があるスライダーを残したいといった場合は、テープの側のみを新品にチェンジしてから、オリジナルのスライダーを入れ替えることも可能です。ただし、使用されたスライダーはそれなりに摩耗が進んでいると考えられるので、直す側の立場からはあまりお勧めはできません。

スライダー交換

ジッパーは一般的に、そのつまみを下に倒すと、スライダー内にある「つめ」が垂直に立って務歯に引っ掛かり止まるような仕組みになっています。したがって、そのつめが何らかの理由で欠けたり、長年の使用で摩耗したりすると、スライダーはストッパーとしての機能が失われてしまいます。スライダーが壊れている時は、それを引き上げ、閉まった状態にしてからジッパーの両端を左右に開くと、つまみが倒されているにもかかわらずスルスルと下に落ちていくので容易に確認することができます。

そのような状態で務歯が欠けていなければ、スライダーの交換のみでジッパーの機能は回復できます。ジッパーのメーカーが「YKK」であれば、ほぼ間違いなく交換は可能です(ただし刻印のされているオリジナルのスライダーは入手できないので、YKKの文字がつまみに刻印されているものに変わります)。YKKのスライダーに関しては、現行型として流通しているものから、現在市販されていない古いタイプのものまで概ね対応できます。

問題はヴィンテージのジッパーですが、オリジナル(裏に「USA」刻印のある)の「42TALON」であれば、現在、在庫はかなり充実しております(逆にレプリカは対応できていません)。他に「GRIPPER」や「UNIVERSAL」のものもあるのですが、現状品薄状態です。

左からオリジナルの「GRIPPER」と「42TALON」、残りはレプリカの「WALDES」

ヴィンテージ・レプリカについては、「UNIVERSAL」の一部と、朝日ファスナー(株)の「WALDES」のジッパーがご用意できます(「WALDES」のジッパーは一本から別注して作ることができます)。

まとめ

以上のことを費用のことも含めて整理すると次のようになります。

〈ジッパー交換の必要なケース〉

務歯がぐらつくか欠けたとき、あるいはテープが裂けた場合

①全交換・・・¥3,850(YKKの場合はジッパー代金は費用に含まれます。ただしヴィンテージジッパーを使用する場合は¥1,500前後、レプリカの場合は¥500程度の代金が別途必要となります。 )

②務歯のあるテープ部分のみ交換し、スライダーはオリジナルのものを使用・・・¥3,850

③務歯の損傷の位置が、上下の止めからそれぞれ1.5㎝内にある場合・・・¥3,850(オリジナルのジッパーを利用できますが、長さが少し短くなります。)

〈スライダー交換のみで修理可能なケース〉

務歯のあるテープの側に問題がない場合

①YKKのスライダーに交換・・・¥2,200(スライダーの代金込み)

②ヴィンテージのスライダーに交換・・・「42TALON」のスライダーは¥1,000、その他のものは¥1,500前後、交換費用¥2,200に加算されます。

③ヴィンテージ・レプリカのスライダーに交換・・・スライダーの料金として¥500程度が交換費用¥2,200に加算されます。

最後に

以上、ジッパーが壊れても何らかの形で補修することが可能であることを見てきました。しかし当然ではありますが、ジッパーが壊れないに越したことはありません。

先にも書いたように、ジッパーの損傷の原因の大半は、務歯、もしくはスライダー内のつめの欠損です。そしてそれらが欠ける理由のほとんどが、ジッパーの「急な」開閉行為によるものです。特にジッパーを閉める時にそれは起こりやすいのですが、スライダーがわずかに傾いて上がったり、テープ部分がたわんだ状態で引き上げたりすることで、務歯に引っ掛かって動かなくなることがあります。そうした時に無理やり引っ張り上げると、その勢いで務歯が飛んだり、つめが欠けたりするのです。

ジッパーは、その開閉が心持ちやさしくなされている限りほとんど引っ掛かることはないですし、仮にそうなったとしても壊れるまでには至りません。もし、それでもスライダーが動かなくなったときは、強引に引き上げ/下げするのではなく、いったん少し戻してから再度ゆっくりとそれを動かしてやると、スムーズに上げ下げができるようになります。もしあまりに頻繁に引っ掛かるようでしたら、蝋(ろうそくで問題ない)を務歯の部分に塗れば、そうした問題はかなりの程度軽減できますのでお試しください。

以上、ジッパー・スライダー交換をおこなう際の要点を書いてきました。チェンジをお考えの際に、何らかの参考になれば幸いです。

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